桧尾根を探検してきたぞ〜。
2016年10月23日 20:42
石尾根は雲取山から発生して奥多摩駅周辺まで伸びている長大な尾根ですが、その長大な尾根からはさらに何本もの支尾根が生まれている。特に北側の尾根はバリエーション色が強く、足を踏み入れる人が少ない。
今日は僕はその中でも最も奥深い場所にある尾根のひとつである『桧尾根』を歩きたいと思い出掛けました。(2016/10/15の山行日記です)
『桧尾根』周辺地図
免責事項、貴方の生命と財産に関わる重要な警告です。
桧尾根は完全にバリエーションルートです。特に尾根の末端は沢の渡渉があり、その後には崖のよじ登りがあります。崖のよじ登りはルートファインディグが必要でルート設定を誤ると難易度が飛躍的に高くなり滑落の可能性もあります。また登山者の技量によっては、崖の途中で降りれなくなる、動けなくなる、これ以上登れなくなる可能性も有りえます。可能であればヘルメットなどを装着する、ボルダリングやクライミングなども経験した上で、脱出する方法(懸垂下降など)もあった方が良いかもしれません。
また私が初めて熊と遭遇した場所でもあります。もしも挑戦する方は十分に気をつけて歩いて欲しいです。
最悪の事態発生!写真ファイルが壊れた!
命がけ?で撮影してきた写真ファイルが一部開けなくなりました。
ファイルが壊れてしまったようです。
ただし一部の写真はサムネールだけは残っていました。
それでも横幅で190pxぐらいのものですが、一部それを使って山行日記を書きます。
アクセス・・は省略します
奥多摩駅からバスに乗り東日原バス停へ。そこから徒歩で天祖山登山口方面へと歩き、さらに林道日原線を歩いて延々と進み、富田新道の登山口へと到着します。
今日の装備。
今日は桧尾根を登って石尾根を目指して、その後は奥多摩小屋のテン場でツェルトを張って遊んでみようと思って、大きいザックを背負ってきました。
日原林道から富田新道へ入ります(写真に写っているのは僕ではありません(笑)
登山口の所には小さいバイクが放置されていました、ナンバープレートも無い。
バイクが目印だ(ホンダのモンキーかな?)
すいません、ここから写真が汚いです(^^;)
登山口の様子。
日原川へ方へ下ります。
登山口からは明瞭な道が伸びているので、歩いて行きます。左側が思ったよりも高度感がある場所もあるので、滑落するとヤバイ部分もあります。ちょっとだけ(こえ〜〜(^^;))と思って進みました。
まぁ、ここは普通の登山道なんですけどね・・。。
よく整えられた道。
下の方に見える沢。
道を進んで行くと、すぐに吊橋が見えてきます。
吊橋。
一人づつ渡ってください。
この吊橋を渡った所に道標が1本立っています。
吊橋を渡った所にある道標。
富田新道を歩きたい場合はこの道標に従い、坂を登って行くのですが、今日の僕は桧尾根を歩きたいので、この道標の裏側に伸びている踏み跡を進みます。
右折では無くて、真っ直ぐの踏み跡があるのがわかる。
道標から5〜6歩進むと行き止まり・・というかそこから先は道が無いです。
下の方にはこれから渡渉する沢が轟々と流れていました。
沢の様子を少し高い所から見る事ができる。
ここからどうやって沢へ降りるか・・けっこう難しいなぁ・・と思いました。
雨の後だったからか、地面も岩も濡れているんですよね。
どうしようかなぁ・・と考えましたが、道が途切れた所から正面にある木の所まで軽くトラバース気味に渡りますと、その向こうは比較的簡単に降りられそうでした。
※で、沢から降りてここからどうやって対岸まで渡るかが問題です。
結論から言うと、ここは大人しく普通に渡渉した方が良いです。
高い場所から見えていた手前の部分は水深も深くなく流れも緩やかでした。
上流の方は巨木が沢の中へ倒れ込んでいます。その巨木を渡って対岸へ渡る人もいますが、言う程簡単では無いです。
沢に降りてから、少し上流の方に見えている大きい倒木の方まで行ってみる事にしました。
しかしそのためには、石の上を渡って行く必要がありますが、石は濡れているし、平では無いのでとても歩きにくいです。案の定というか、靴ごと沢の中に入ってしまっていきなり靴の中までびしょ濡れになりました(^^;)
もしもここで靴が濡れてなければ、この後大人しく渡渉しようかなと気が変わったかもしれないです。
ちょっとした事がきっかけで、その後の自分の判断に影響を及ぼす事もあるのだと、後になって振り返ってみて思いました。
濡れた岩を渡って、倒木のすぐ近くまで行ってみますと、倒木の上を歩いて隣りの大岩へ移ればすぐに対岸に渡れそうです。そこで僕は倒木の上を歩く事にしたのです。
倒木を歩いて進んで、隣りの岩へと移る。
上の写真だと動きが分かりにくいと思うので図示すると・・・。。
こんな感じ。
ただ写真だと分かりにくいけど、木と渡る大岩は高い場所にあるので、向こう側に落ちると2mぐらい落ちて沢にドボンです。巨木も岩も立って歩く自信が無かったので、かっこ悪いですが、跨ってすこしづつ進みました。岩に渡ってからも岩に跨ってじわじわと進み、なんとか渡りきりました。
沢に転落しても命には別状はありませんが、電子機器が全て壊れると思いまして、そういう意味で緊張感が高かったです。
やっぱり大人しく渡渉しておいた方が安心だし、速かったな・・と思いました。
とりあえず、第一の難関?である渡渉が無事にクリアできて良かったです。
対岸に渡って、沢の様子を撮影した所。
ちなみにこの写真はiPhoneで撮影していたので、綺麗に残っていました。
対岸に渡った所から踏み跡があるので進む。
この周辺の苔もモフモフ感が最高クラス、すごく厚みがある。
ちょっと進むとヤカンが転がっていて・・。。
踏み跡を辿って行き、少し坂を登って行くと上の方に平な場所が出てくる。
この辺り道が間違えようが無いぐらいほぼ一本道。
小屋の跡。看板が倒れている。
かつてココに小屋があったのだと言う。
なんとなく人工的な四角い石。
奥の方には一升瓶が割れて沢山落ちている。
さらに奥の方を見るとゴミが散乱している。
小屋の跡で佇む僕。
石垣の様子。
小屋跡地には石垣があり、そこからさらに一段登ると『鳥獣保護区 農林省』の看板が立っている。
鳥獣保護区 農林省
小屋跡から左下に沢を見る。
そこから山の斜面がすぐそこに見える。
傾斜は緩く、丸い石がゴロゴロして苔蒸している。
緩斜面。
その緩斜面を登って行くと、目の前に高くそびえる崖(超急斜面)が出現する。
ここがこの尾根の核心部分だ。
緩斜面の様子。
緩斜面の向こうに崖が見える。
緩斜面を登って行くとすぐに崖の下へと出る。
周辺をじっくりと確認するが、崖とは行っても適度な傾斜がある。
上の方に行けば行くほど傾斜が厳しくなっているようにも見える。
とりあえず、取り付けそうな所があったのでそこから斜面を登ってみた。
斜面に取り付く
この写真で見ると傾斜がかなりついていて登りやすそうに見えるけど、
カメラで撮影してるので傾斜が上手く表現出来てない。
取り付き点から一段登ってみて、周辺を良くみた。
真上には登れそうにない・・・・
上を見上げた所。
左側は・・手がかりになるものが無く、足元も危うい。
右側を見ると、簡単に移動できそうで、足元もしっかとしている。
右側へ横移動する事にした。
初めに登った所から右側を見た所(傾斜の雰囲気が良くわかると思う)
ここの右移動は簡単に出来たけど、こちらへ移ると高度感がぐっと出てくる。
足元はとても狭くて動き回る事はできない。
落ちたら大怪我しそうだ。
これは本格的な崖登りになりそうだと思ったので、
ここでザックにカメラを仕舞う事にした。
上へ登って行くには周辺を良く観察して、手がかりになりそうなものを見つけないといけない。
木の根っこがあったので引っ張ってみると、腐っていてグズグズしている。
岩があるので、触れてみれば簡単に剥がれる。
そうやって触れそうなもの、をひとつひとつチェックをする。そしてどれに身を預けるかを選ぶ。
そういう作業を繰り返すのである。
そうやって丹念に登れる場所を探すわけだが、
以外と手がかり足がかりになるものが少ない。
手がかりになるものがあれば、それをしっかりとにぎり、手で引き寄せ、
同時に足を蹴り出して上の段へと登るのである。
とても大きい階段を登るような感覚です。
そうこうしている間に徐々に登り始めた所から右側、右側へとトラバースしつつ高度をあげていった。
と言うよりも、登れそうな所を選んで登った結果そうなったのです。
感覚的にはほぼ一方通行でした。
途中で右下に崖が出てきた、下を見るとすり鉢状になっている、そこだけ苔も岩も枝も無い。
すり鉢の下がどうなっているのか見えないが落ちたらどれだけ落ちるのか想像も出来ない。
そこで、やはり周辺を良く見て手がかりになるものを探した。
でも、見た感じとても上には登れそうにない。
根は腐っているし、突き出している岩が無い。あるのは苔むした土だけだった。
手詰まり感が出てきてあせった。
(やばいんじゃないか・・)と思い始めてる自分がいた。
右側を見ると、すり鉢状の部分をトラバースして向こう側に行く事が出来て、向こうは傾斜もゆるく感じる。
あそこまで行ければ先へ進める気がした。
トラバースするには1mぐらい、かる〜く踏み出せば届くんだけど、
ここがめっちゃ怖かった。足を踏み出したけど踏み出した足が逆の足で、
その足を踏み変えるのにも緊張した。
無事に横断できたが、横断した後に少し後悔した。
客観的に見ると傾斜が緩そうに見えるのに、いざ自分がその場所に立ってみると
傾斜がかなり厳しく感じるのだった。
どんどん自分がヤバイ方へ吸い込まれているんじゃないかと、この時自覚したのだった。
奥多摩でよく、なんでこんな所で死んだのかな?という遭難事故があるけど、
まさに今の自分が死んだら、そういう事になるだろう。
下の方には沢が流れており、ザーーーー!!!という音が周辺に響き渡っている。
ここで大声で誰かに助けを求めてもぜったいに声は届かないだろう。
早くこのヤバイ状況から脱出しないとヤバイと思ったし、
こんな所で死ぬのは御免被りたいと強く思ったのであった。
この場所は尾根の突端であり、痩せた尾根で両側が切れ落ちている。
狭いテラスの上にかろうじて立っているような状態が続いている。
それでも痩せ尾根の上に太い樹が生えていて、太くて力強い根が張っていた。
ここからは火事場のクソ力というやつで、根を掴んで一段一段とグイグイとのぼっていった。
たくましい木の根が張っており、すごく登りやすい。
そして・・・
やっと平坦な場所へ出た!!
登り切ったぞ!!!!
嬉しかったけど、乾いた笑いしか出てこなかった(笑)
後で時計を見たけど、取り付いた所からここまで約18分程度の登攀だったようです。
思ったより短いなぁ・・・ (^^;)
思ったより、手がかりになるものが無くて、参ったが、とりあえず登れてよかった。
もうしばらくこういう登山はいいかなと思ったが、この20分の間で完全に体力を使い果たした(笑)
十分に満足したので帰りたいと思ったが、今登ってきた所を下るのは不可能(不可能と言う程では無いけど登るよりずっと難易度が高くなる)なので、登るしかない。
※この尾根をはじめて歩く人はぜったいに下りでは使わない方がいいです。
尾根に乗った所(だと思う)
ちょっと違う方向から崖の下を見てみた(怖くて近寄れない)
完全に崖だよなぁ・・よくこんな所登るよ・・(^^;)
僕は登りやすい所を選んで右側へトラバースしてしまったけど、他の人の山行記録を見ると崖を正面突破してるようにも見える。どっちが正しいのはわからない。違うルートの方が手がかりがしっかりとしているのかもしれないし。それは経験してないから分からけど、とりあえずここは危ない場所です。
こんな登山を繰り返していてはいずれ死ぬだろう。と思ったし、
ちょっと身の振り方や今後の登山のあり方を考えないといけないだろうと感じました。
とりあえず、先の方を見るとこの先もしばらくの間痩せた尾根が続きそうだ。
肉体的にもそうだけど、精神的に消耗が激しかったので、
10mぐらい歩いてから、その場にへたり込んでしまった。
ここで長めに休んで、肉体的、精神的に回復したら進もうと思ったのだ。
とりあえず水を飲んで、チョコレートバーを齧った。
無線をつけてみたけど、尾根の上だけど高度が低いからか何も聞こえてはこない。
10分程休んで出発。すこし回復したか・・。。
この先もしばらく気をゆるす事が出来ない痩せた尾根だ。
痩せた尾根を進む。
ここは左側に細い踏み跡があるので、そこを歩いた。
痩せた尾根を塞ぐように立っている巨木もあった。
そこは木を抱え込むような感じで右側に残っている足場を使って通過する。
下を見るとここもすり鉢状の崖になっていた。
落ちたらヤバイ。
折れ曲がった看板。落石の影響だろうか?こんな奥深い尾根にも人の手が入っているのだな・・。
尾根の様子。
尾根は進めば進むほど、尾根の幅が徐々に広くなってきますが、
それでも尾根の下部は傾斜が厳しい場面が少なくない。
そんな場所でも滑落の可能性は決して高くは無いと思いますが、
傾斜が厳しいので、手をついて、つまり四つん這いに近いポーズになったりもする。
こういう歩きは体力の消耗も激しい気がする。
こんな場所にも水道局の石標がある。
痩せた場を抜けて、十分に尾根が広くなり、滑落の可能性が限りなく0に近くなった所で
やっと身の安全を得たと感じた。
ストックも上手に使って登る。
尾根の様子。
枯れたスズタケが沢山転がっている。
動物が掘った後。
迷惑な倒木(笑)
苔がすごい倒木
不思議な菌類?
このキノコが、表面に小さい穴がいっぱい空いているので、見る角度によって明るさが変わって面白かった。木の小枝でつついたけど硬かった。
ホコリタケの一種だろうか。
チャワンタケの幼菌だろうか?
イグチの一種だろうか?
1580mぐらいの所で、熊の糞が落ちていました。
赤ちゃんが食べるような離乳食のような優しい色の糞です。
まだ新しく、周辺に糞のニオイがただよっていました。
正面からバキバキと音が聞こえて、大きい熊が尾根を横断しているのが見えました。
たぶん、こっちの気配に気付いて逃げていったんだろうと思います。
20〜30mぐらいは離れていたと思いますが、かなり図体の大きい立派な熊でした。
もうちょっとで桧尾根も終わりだぁ。
と、いうわけで、ちょっと終盤に熊に遭遇して、いきなり襲われないかな?と思ったりもしましたが、
桧尾根を登りきる事ができそうです。
最後まで気を抜かずに・・。。
そして高丸山へ到着。
やりました〜。。
序盤がかなりシンドイ登山でしたが、無事に完歩する事ができて、ほっと胸を撫で下ろしたのでした。
ここまでの歩み。
この後は、奥多摩小屋まで移動して、そこでツェルトを張って一泊して、その後は七ッ石山から鴨沢へと下って下山しました。
ここまで読んでくれて有難うございますm(__)m
ヽ(^◇^*)ノ=500
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