単独行のこころ。

ある日、避難小屋に入って、独りでまったりとしていたら、
後から団体さんがやってきて小屋の中が賑やかになった。

避難小屋
避難小屋にて。

僕はそんな時、心の中であまり話しかけてほしくないなぁと思う。
でも、仮に話しかけられても嫌な顔をしたりはしない。
普通に接する様にしている。

積極的に人には関わらないけど、
関わってくる人には邪険にはしないし、
山道を歩いていてもこちらから挨拶ぐらいはする。

その日、僕はフライパンを持ち込んで肉を独りで焼いていた、
肉はじゅーじゅーと音をたて実にンマソーである。

その時だった、その団体さんのひとりが僕にこういったのである。

「独りで食べて寂しいでしょう?一緒にたべましょう(^^)」

なんて良い人だろう・・
でも、余計なお世話なのである(笑)

僕は独りの時間を楽しみたくて山にやってきているのだから
寂しいなんて事はぜったいにあり得ないし、
むしろこの独りの時間を、自由自在の境地と称して心ゆくまで堪能しているのだ。

それなのにこの人は・・わかってないなぁ〜(笑)

単独行のこころを・・(^^)

しかし、はっきり言って、せっかく誘ってくれたのに、
この優しさを無碍にするのも心が苦しい。
結局はやんわりと断る事になるのであるが、
この断るという行為が、実に面倒くさいし、悪い気がする。
要するに小心者?なのだ(良い人とも言う)
そういう意味もあって(話かけてほしくない・・)という感情が
沸き起こってくるのも無理からぬ事なのである。

「いえ・・大丈夫です(^^)」とやんわりと断る僕。

そうすると、もう2度と誘われないのである。
当たり前だけど。

食事も終わって、ガスストーブを再点火する。
コーヒーでもゆっくりと飲もうか・・という心なのである。

ガスバーナーがずぼぼぼぼぼと音を立てる。
やがてコッヘルの蓋がカラカラ・・と笑い出す。
なんとも愉快な時間じゃないか。
何をするわけもなく、じーっと炎を見つめる。
こんな時間が大好きなのである。

すると、聞き耳を立てていたわけではないが、
狭い小屋の中であるから、団体さんの言ってる事が聞こえてくるのである。
話しの内容はこうである。

そのパーティーはリーダーを中心として、見知らぬ人同士で構成されている。
リーダーが山で声をかけて、知り合いになった人が
そのリーダーを通じて仲が良くなり、やがてみんなで山へ行くようになったと言う事だ。

「・・・で、その人は誘ったの?」
「いや、誘わなかった、なんだか気が合わない気がしたから」

みたいな話しをしているのだ。
恐ろしい・・

僕はココロの中で(こんど一緒に山に登りましょうか(^^))
とか言われなくて良かった〜と安堵した(笑)

食事を断ったのは正解である。
もしも一緒に食事をしていて、
気に入られたら山に誘われるかもしれない。
そしたら、それは僕は100%断るだろうから、
また心苦しい思いをする事になる。

しかしこうも思ったのである、
誘われなかったらそれはそれで寂しいかも・・(?)
などと、いろんな考えがぐるぐると頭の中をかけめぐる。

いろいろ考えていると賑やかな小屋の中で、
急に独りでいる事がとてもさみしい事のように思えた。
そっと、イヤフォンを耳につけて、ラジオのAM放送を聞く。
その姿はまるで、蓋を閉じた貝のような姿だ。
耳に蓋をする事で、人との接触を絶つ。

そしてやがて、寝袋にくるまって寝るのである。
その姿は本当の貝のように見えるだろう。

寝袋にくるまって、無心でじっと天井をみつめていたら、
さっきの団体さんの人たちの、いびきが聞こえてくる。

独りで登山をするのは大好きと言いながら、
見知らぬ人のいびきの音が、山奥の小屋の中でとても暖かく感じる。

そんな事を思いながら、僕はそっと目を閉じるのである。

とーさん
すきま風。






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