単独行のこころ2

ある日の出来事です。

おばあちゃん。

バリエーションルートを私が歩いていると、正面の斜面から人が下ってきて私は目を剥いた。

こんなところで人と会うなんて・・しかも女性・・かなりご高齢の様だ。

軽く挨拶をして、ちょっと立ち話、向こうもこんな場所で人と会うとは思ってなかったらしい、軽く驚いているように見えた。

話しをしてみると、この尾根を何度も歩いているけど、何度も道を間違って歩くのが難しいと言っていた。なるほど、たしかに作業道が多いし迷うのもわかる。

おばあさんはボロボロの地図を広げて私に見せる。コンパスは持って無いが、腕時計の針で方角が分かると言う。古式ゆかしいアウトドアテクを披露してもらう。

今日こそはこの尾根を歩ききってやる。という意気込みが伝わってきた。

終始一貫してニコニコ笑いながら話す女性に、私の顔も自然と笑顔になっている。
山中で笑顔の交換をするのだ。

ひとしきり話したら、挨拶をして別れる。

そしてそっと後ろを振り返った僕は、
軽い足取りで去って行くその後姿に静かに感動をして、
写真をこっそり一枚撮った。

人と言うのはこのおばあさんのように、自分の生き様を通して、誰かに何かを感じてもらえるような生き方をしなければ成らない、と思ったのだった。

本当に頑張っている人は光り輝いて見える。もはや言葉は不要だと思える。私がこのお婆さんの後ろ姿を見て、元気と感動をもらった事がその証拠である。

おわり。



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